最終更新日 2024年2月16日

電子カルテに移行する時のポイントとは?

電子カルテへの移行についてトップ画像

電子カルテは業務の効率化や、カルテの保管場所の削減といったメリットがあり、導入するクリニックは増えています。

しかし、電子カルテへの移行を検討しているクリニックの中には、

導入方法がわからない

電子化した後の紙カルテをどうするのか

といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

当記事は、電子カルテに移行する際のポイント、電子化のメリットや注意点について解説しています。電子カルテへの移行でお悩みの方は、ぜひご覧ください。

電子カルテに移行する時のポイント

電子カルテに移行する際の、3つのポイントを紹介します。電子カルテの導入を成功に導くために、事前の準備をしっかりしておきましょう。

自院の課題を明確にする

電子カルテは種類が多く、様々な機能を備えています。自院の課題を明確にしておくことで、必要な機能を備えた電子カルテシステムを選定できます。

クリニックによって、カルテの文字が読みづらい、カルテの量が増えて管理が煩雑になってきたなど、様々な課題があるでしょう。

できるだけ多くの課題を抽出し、カルテを電子化する目的を明確にしておきましょう。

院内スタッフへの周知

日々の業務で電子カルテを使用するのは、スタッフです。電子カルテの導入目的を伝え、協力を得る必要があります。

電子カルテを導入する際にはスタッフに対して、カルテ管理の効率化字の読み間違いを防げるといった、電子カルテの一般的なメリットと、自院が抱える課題について説明することが重要です。

普段の業務の中で、困っていることや問題に関しての情報共有ができていれば、スムーズに協力を得られるでしょう。

移行後の紙カルテの処分または保管

紙カルテは、データ移行後、処分するのか、保管するのか決めておきましょう

紙カルテは、患者の個人情報が記載されており、扱いは慎重にしなければなりません。処分する場合には、信頼できる専門業者に依頼する必要があります。

一方、保管する場合には、保管スペースを確保しなければなりません。保管スペースがとれない場合には、紙カルテの保管を請け負っている業者へ依頼することも視野に入れておきましょう。

電子カルテに移行するメリット

なぜ多くの病院やクリニックで電子カルテへ移行する動きがあるのか、具体的にどんな魅力があるのか、そのメリットをご紹介します。

書類作成の効率化

書類作成の効率化は、患者の待ち時間の短縮にもつながる大きなメリットの一つです。

電子カルテには多くの場合、各書類のテンプレートがあり、項目に入力することで簡単に書類の作成が可能です。また、手書きによる読み取りにくい字を記入者に確認しに行く手間もなくなります。

このように書類を作成する時間が短縮されるため、患者の診察がスムーズになり、医療業務に集中することができます。

人的ミスを防止できる

電子カルテは、紙カルテのデメリットである、記入間違いや、記入者による文字の読みにくさが原因の人的ミスを防止できます。

電子カルテを導入すると、手書きからシステムへの入力へ変わるため、読み間違いや、算定ミスといった、手作業によるミスを減らせます

情報をリアルタイムに共有できる

電子カルテは、システムへ情報を入力するため、情報は直ぐに保存、共有されます。

そのため、電子カルテを閲覧できるタブレットなどがあれば、場所や時間を関係なく使え、情報の記録や確認が行えます。

紙カルテと違い、部署間でのカルテの異動もなくなるため、事務処理の速度も上がり、来院者の対応もスムーズになるでしょう。

保管スペースを減らせる

電子カルテは、紙カルテを管理していたスペースの削減が可能です。

カルテは診療完了日から5年間、保管するように定められています。(参照:医師法第24条第2項

そのため、紙カルテの場合、患者数と比例して、カルテの量も増えるため、カルテの保管場所の確保が必要になります。

しかし、電子カルテはカルテをデータにするため、保管場所は必要ありません。日焼けや汚れ、災害などによる紛失のリスクも減らすことができます。

紙カルテを電子化する際の注意点

紙カルテを電子化するにあたって、いくつか注意しなければいけない点がありますので、以下の通りご紹介します。

自院に適した電子カルテを選定する

電子カルテには、オンプレミス型とクラウド型の2つのタイプがあります。

オンプレミス型はサーバーを院内に設置し、カルテ保管をします。サーバーの設置場所の確保が必要であり、導入コストが高額になる傾向があります。

一方、クラウド型は、データをクラウド業者のサーバー上で管理するため、院内にサーバーを設置する必要がありません。比較的、導入コストを抑えられるため、近年はクラウド型の導入が、中小規模のクリニックを中心に進んでいます。

どちらのタイプが適しているかは、クリニックの規模や診療科によっても異なります。自院の課題や特色に合った電子カルテを選定しましょう。

データの移行方法を決める

ここでは、データの移行方法について4つ紹介します。自院のスタッフの人数や、予算に合わせて移行方法を選びましょう。

  • 方法① 紙カルテと電子カルテを併用:
    再診患者のカルテから移行するため、使用頻度の高いカルテから移行できる。
  • 方法② 期間を区切る:
    現在から期間を区切って全データを移行する。カルテの量が多いと、時間と人手が必要になる。
  • 方法③ PDFとして活用:
    紙カルテを全てPDFで取りこむ。紙カルテより、カルテを探しやすくなる。
  • 方法④ データコンバートを行う:
    レセコンのデータを移行できる機能を持つ電子カルテを選定し、データを移行する。

導入時期を決める

電子カルテへの移行や、運用に関する研修は、全て通常業務と同時に進められます。退職など、スタッフの入れ替わりの激しい時期は、人手不足や、新人教育に時間が割かれ、運用が思うように進まない可能性があります。

そのため、来院者の少ない時期や、スタッフ数が充実している時期に実施することが重要です。

電子カルテ導入後の業務フローを決める

電子カルテを導入後は、運用に適した業務フローを作らなければなりません。

例えば、開院時間前に、電子カルテのシステムを立ち上げて使用できるようにしなければなりません。医師もこれまでの帳票が使用できなくなったり、カルテの入力内容が違ったりするケースもあるでしょう。

そのため、操作に慣れるまでは通常より業務に時間がかかることもあります。患者へ迷惑をかけることになるため、クリニック内で業務の流れやルールを決めておくことが大切です。

電子カルテの操作方法を周知する

電子カルテ導入の際は院内スタッフに対して研修を行い、操作方法の周知に努めましょう。

電子カルテは多くの機能を備えているため、操作方法を理解していなければ、通常の業務に支障をきたします。特に、スタッフのITリテラシーが低い場合、操作説明をするだけでなくきちんと操作方法を学ぶ機会を設ける必要があります。

また、多機能な電子カルテは、より操作方法が難しくなりがちなので、電子カルテの機能を最大限活かすためにも、操作方法を周知し教育する必要があります。

まとめ

電子カルテの導入には、自院の課題を明確にしたり、スタッフの協力を得たりするなど、事前準備が必要です。

しかし、業務の効率化につながる電子カルテの普及率は伸びており、導入を検討しているクリニックは増えています。

電子カルテに移行する際のポイントを理解し、導入を成功させましょう。

電子カルテの移行についてまとめ画像

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