質的研究とは?
質的研究とは、インタビューや記録などの主観的データをもとに研究対象の社会的・文化的な解釈を深める研究のことです。
社会的背景や対象者の心理、性格といった数字で表すことができないデータを集約して、対象者の心理的傾向や文化などへの理解を深めることができます。数字だけでは理解が難しい事象や目的に対して有用な研究といえます。
本記事では、質的研究について、量的研究との違いや主な研究分野、代表的な研究方法をわかりやすく解説いたします。
質的研究と量的研究の違い
質的研究と対称的な研究として、量的研究があります。
量的研究とは、データの収集や分析の際に研究対象を数量的なデータとして扱い、理論や仮説の検証を行う研究のことです。数字で表すことができるため結果の信頼性が高いと見られており、科学的な手法として広く活用されています。
結果をある程度予測して実験を行う量的研究に対して、質的研究では個々の経験や言動に依るため思わぬ結果や気づきを得ることになります。目的に合わせて研究法の選定やデータ収集を行うと良いでしょう。
質的研究が用いられる研究分野
質的研究が用いられている分野として、臨床心理学、看護学、社会学などが挙げられます。
特に医療関係の分野においては、患者一人ひとりに対して個人の生活や心理状態などを含めて事例として重視することで、患者へのより良い医療の提供に活かす動きが高まっています。
質的研究の研究方法
質的研究の代表的な研究方法を4つ解説いたします。自身の研究目的に最適な研究方法か検討してみてください。
ケーススタディ(事例研究法)
事例研究法とは、一つの事例に対して、個々のこれまでの過程を詳細に調査、記述し問題解決を行う方法のことです。
例えば、特殊な患者の症例に対して事例研究法を取り入れることで、最適な治療法の発見や同様の症例への早期対策などを行うことができるでしょう。
グラウンデッド・セオリー・アプローチ
グラウンデッド・セオリー・アプローチとは、インタビューや記録などで得たデータを文章化し、特徴的な単語などの区切りに具体的なラベルやコードの数字を付けて、分類したり分析したりすることで、客観的に現象を理解する方法です。
質的研究ですが、データに基づいた仮説や理論の構築を目指しており、テキストを主に扱うことからコミュニケーション論やマスメディア論において活用されています。
フィールドワーク
フィールドワークとは、研究対象となる事象が起きている現場に赴いてデータ収集を行う方法です。
研究対象が人間である場合は「インフォーマント」と呼ばれ、対象の生活や文化について実際に体験しながら理解を深めることになります。
現象学的方法
現象学的方法とは、インタビューや日記など人間の体験の記述を通して、現象の本質を明らかにする研究です。
主観的な認識を無くして、対象の内面を客観的に捉えることで新たな知見を得ることができます。
まとめ
質的研究とは、数字では表すことができない社会的・文化的な事象に対してデータを収集、分析して、新たな発見へとつなぐ研究です。
しかし、個々の事象に依るため再現性や普遍性に欠ける点や、個人情報の流出の危険性といった問題点があり、データの取り扱いや分析の際には十分に注意する必要があります。
また、先入観や研究者の思想の影響を受けやすいため、研究目的をきちんと定めて、様々な視点で事象を捉えることに気をつけなければなりません。
研究目的に対して、どのようなアプローチが適切なのか改めて検討してから、質的研究を取り入れると良いでしょう。
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