保険DXとは?
保険DXとは、AIやIoTなどの最新テクノロジーと保険を組み合わせることで、保険商品やビジネスモデルを革新するための取り組みのことを指します。現代の市場は急速に変化しており、保険業界も例外ではありません。このような状況下で生き残るためには、保険DXは不可欠と言えます。
現在、保険市場の変化は早く、顧客のニーズも多様化し、従来の業務プロセスでは対応が難しくなってきており、保険DXはこれまでの保険業界のビジネスモデルを新たにする取り組みとして推進されています。
本記事では、保険業界が直面しているDX化の現状と課題や、保険業界のDXに役立つソフトウェアについて紹介します。保険業界でのDX化をご検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
保険DXのニーズ
保険DXは近年の労働形態に変化があったり、それにともなう生活習慣や趣味嗜好が多様化するようになったりしたことで、今までのような画一的な保険サービスだけでは、すべてに対応することが難しくなりました。
そこで、実際に日本国内・海外それぞれで主に取り組まれているサービスについて、一部をご紹介いたします。
日本国内での主な取り組み
日本国内での保険DXの促進はコロナ禍が一つの大きな契機となったとも言え、非接触の形式を取る保険会社が増えたことなどが例として挙げられます。そこでは、リモートや対面とのハイブリットを駆使したセールスの業態が生まれました。
ほかにも、新規顧客を獲得することの難しさから、競合企業との差別化として従来使用してきている会員サイトを応用したポイントの付与・還元および、それらを消費した特典などを用意するなどのサービスも多くあります。
海外での主な取り組み
海外では、医療機関と患者とを迅速につないだり、自動車事故などの現場で緊急の対応が必要とされるコンタクトセンターとバックオフィスとの連携が必要だったりする場面でDX化が進んでいます。
具体的には、どちらの場面でも顧客を待機させる時間を有効活用することが効果的であるとして、対話型の音声応答やチャットボットとしての機能をサービスや、診察前の問診票をオンライン上から入力できるようにし、そこから適切な治療が可能な医師を紹介するアプリなどが導入されています。
保険業界のDX化の課題
日本国内・海外で前項のような保険DXへのニーズがあることがわかりましたが、保険業界のDX化には様々な課題も存在しています。ここでは、保険DXの課題について詳しく解説します。
レガシーシステムの問題
保険業界が抱える課題の一つは、「レガシーシステム」と言い、古くなってしまったシステムや技術のことを意味します。多くの保険会社では、長年にわたって蓄積されたデータやシステムを使用してきましたが、これらのシステムは古くなり、現在メンテナンスやアップデートが難しくなっているのです。
レガシーシステムは運用コストも高く、柔軟性や効率性の面でも問題を抱えています。もし、システムの保守期限が切れていたり、セキュリティが古くなっていたりしていると、顧客に損害を与えるリスクが高まり、古いシステムによる顧客サービスの低下も考えられます。そのため、新たなシステムの導入や古くなったシステムの改修が必要となるでしょう。
少子高齢化への対応
保険DXが推進される背景には、日本の少子高齢化もあります。高齢者が増える中、健康的に長生きするのに必要な医療や介護費用をカバーする保険への需要が増加しているからです。
反対に、若い世代の減少に伴って、長期の資産形成を目的とした商品への需要は減少しています。
また、保険業界は新しい技術やライフスタイルの革新・発展による、車両や住宅などのリスクの変化があった際には、柔軟かつ迅速に対応する必要があります。そこに、IT技術の進化や異業種からの参入、規制緩和などが競争を激化させており、多様化するニーズへの対応と顧客満足度の向上が求められています。
セキュリティ対策への懸念
個人情報や金融データなど非常に秘匿性の高い情報を扱っている保険業界では、セキュリティ対策も重要な課題です。これらの情報が漏洩したり、不正アクセスされたりすることがあれば、大変な被害を引き起こす可能性があります。
そのため、特に保険業界では情報漏洩を起こさないために、厳重なセキュリティ対策を講じる必要があるのです。DX化で活用されることの多いクラウドサービスは、しばしばセキュリティ面でのリスクが懸念されます。
そこで、大切な情報は「オンプレミス」と呼ばれる、自社内に設置するシステムを活用するか、「ハイブリッドクラウド」と呼ばれる、重要な情報のみを社内で保存するシステムの導入を視野に入れる必要があります。これに併せて、情報を適切に扱うために従業員全体 の意識改革が求められます。
ペーパーレス化の遅れ
保険業界では重要書類を扱うため、デジタルへのシフトが難しく、ペーパーレス化を進めにくいという問題があります。ペーパーレス化が実現すれば、印刷や郵送のコスト削減、データ管理の円滑化、分析時間の短縮などといった業務効率化が期待できます。
ただし、秘匿性の高いさまざまな情報を扱うため、やはり強固なセキュリティ対策は欠かせません。また、紙面での安定した運用からデジタルへの変化には、従業員の意識変革も必要となるでしょう。
保険業界のDX化に役立つ主要なソフト
保険業界はDX化により、効率的かつ素早いサービスの実現を目指しています。そのため、保険業務の効率化と顧客サービス向上の支援に役立つさまざまなソフトを活用しています。ここでは、主要なソフトを3つご紹介します。
電子契約ソフト
電子契約ソフトは、オンライン上で契約書に確認・署名することができるソフトです。顧客は自宅やオフィスなど、どこからでもインターネットを経由すれば契約書を確認・署名することができ、時間や場所に制約されずに保険契約を進められます。
従来の保険契約手続きでは、大量の書類作成や郵送手続きが必要であり、時間と手間がかかっていました。しかし、電子契約ソフトを導入することで、顧客はオンライン上で契約書を確認・承認し、簡単に契約手続きを完了できます。また、自動入力機能や一元管理システムにより、契約状況や顧客情報の把握も容易になります。
OCR・AI OCR
OCRは光学文字認識の略であり、紙文書や画像内の文字情報を自動的に読み取り、デジタルデータに変換する技術です。保険業界では、多くの書類処理が必要なため、OCRを活用することで効率化や正確性の向上が期待できます。
例えば、保険契約書などの重要な文書をスキャンしてOCR処理を行い、データベースに保存することで、迅速かつ正確な情報管理が可能です。人手不足やヒューマンエラーの課題解決につながるため、顧客満足度の向上も期待できるでしょう。
さらに、AI OCRによる処理であれば、AIがディープラーニングすることで文字の認識率をより向上させることが可能になります。また、帳票などのフォーマットまで認識することができるため、「表記されていない部分がどこなのか」を判断し、簡単なデータを生成できます。
RPA
RPAはロボティック・プロセス・オートメーションの略であり、ルーチンな業務プロセスを機械的に自動化する技術です。保険業界では、多くの煩雑な手続きや、データ入力作業が行われています。RPAを導入することで、日々の業務が自動化し、従業員の負担軽減や時間の節約が可能となります。
例えば、保険契約申込書の受け付けやデータベースへの登録、保険金支払いなどのプロセスをRPAにより自動化することで、迅速かつ正確な業務処理が実現できます。
チャットボット
チャットボットとは自動会話プログラムのことで、会話形式でユーザーの質問・ニーズに応えることを通じて、問い合わせ対応の自動化を実現することもできます。導入することで、無人でもお客様からの反応を得ることができ、業務の効率化や顧客満足度の向上などといったメリットを得ることが期待できるため、チャットボットを利用する企業は増え続けています。
具体的には、Webページやコミュニケーションツールなどとして主に用いられ、ユーザーによる選択肢の選択またはテキストの入力を受けて、一問一答形式で会話を進行しながら問題解決の糸口を見つけて解決に導くことが主な役割です。
保険業界におけるDXの導入事例
オンライン保険サービスプラットフォーム「insureMO」
insureMOは、商品開発やエコシステムにつなげる業務フローを円滑化することのできる、世界最大のオンライン保険サービスプラットフォームです。
実際に、日本のAXA(アクサ)生命保険株式会社や中国のさまざまな保険会社をはじめとした、世界的な大手保険事業者が求めるような技術と柔軟性を提供しており、導入事例として、損害保険会社の一つであるジェイアイ傷害火災保険株式会社は、isureMOの利用によりデザインUI・UXに徹底的にこだわった新たな旅行保険の開発を実現したとのことです。
世界的なデジタルエコシステムのミドルウェアまたは接続プラットフォームとして機能することができるので、市場投入までの準備期間を短縮することを実現しています。さらに、事業に必要不可欠な保険商品のカスタマイズや維持管理をデジタルAPI生成機能と一緒に実現できる設計ツールを搭載しており、商品戦略のスケールアップが可能になります。
- 人的介入の最小限化で生産性を50%アップ
- 24時間365日稼働のオペレーティングシステムでCX(顧客体験)を向上
- レガシーシステムを保持したまま新商品の機能を導入できる
保険帳票の効率的なデジタル化「DX Suite」
DX Suiteは、保険証券の入力業務を効率化することに成功し、データ活用で最適プランの提案を実現しているAI-OCRです。
導入事例として、紙による申し込み件数が平均して一日約120にのぼり、そのために用意された3種類ずつの書類、計360枚を処理する必要があるような保険会社の新契約に係る業務においても、>AI-OCRによるデジタル化と自動点検を組み合わせることで、全体のコストを約40~50%削減することに成功したとのことです。
定型・非定型のフォーマットに関わらず、AI-OCRが帳票を読み取ってテキストを自動抽出することができるので、CSVやJSON、サーチャブルPDFなどといった様々な形式での出力を可能としています。また、高度の生成AIが読み取った内容を理解し、指定したExcelの各項目に転記することもでき、データ処理の自動化とデータ利用の促進が期待できます。
- 日本語のほかに、英語、中国語、タイ語、ベトナム語に対応
- 帳票の種類ごとに自動で仕分けすることが可能
- AIが文章の内容を判断・判定し、アンケートコメントからクレームを検知(後日リリース予定)
証券番号突合を自動化「Robo-Pat DX」
Robo-Pat DXは、エンジニアに依存することなく、初心者でも導入が簡単になるように導入時サポートが徹底された、事業部門自身が自動化できる純国産のRPAです。
導入事例として、保険が満期を迎えたお客様に関するデータ入力作業に際し、従来は手作業でおこなっていた、月間100件近い証券番号の突合などといったミスの許されない行程をRPAで自動化することによって、作業の効率化だけでなく、人的コストや従業員のヒューマンエラーに係る心理的負担の軽減につなげることができたとのことです。
「現場」の業務フローと必要な機能を追求することで改善を重ねることで、日本企業のDX化を力強く推進してきたRPAロボパットDXは、「目」で見て「マウス」と「キーボード」で操作することは『全てできる』よう、最も快適な操作性を追求してきました。また、RPA導入プロセスにおいて陥りがちな従業員全体の育成にも注力し、生産性向上を実現するサポートを実現しています。
- マウスカーソルを当てるだけで最適な操作を自動判別することができる
- 30秒で1200項目のデータ取得が可能な高速スクレイピング機能が搭載
- いつでもどこでも接続可能なリモートデスクトップツールも簡単に導入
保険業界に最適な顧客管理「Zoho CRM」
Zoho CRMは、競争の激しい保険業界において、顧客や契約情報の一元管理およびタスクの自動化、リマインド機能で業務をサポートしてくれる心強いCRM(顧客管理)ツールです。
Zoho CRMを通して、お客様のあらゆる接点からの情報をクラウド上に一元管理することができるため、プライバシーに配慮された顧客情報の安全な集約および属人化の防止も可能になります。また、顧客満足度の向上を目指す一環として、お客様の保険更新タイミングや誕生日、進学・結婚のご予定を記録し、リマインド・アラート機能により知らせてもらうことができます。
- ブループリント機能搭載で営業プロセスのルール化が可能
- 契約内容に応じて案件を自動割り当てしたり、承認作業も自動化したりできる
- パソコンだけでなくモバイルアプリから顧客情報やタスクの確認ができて便利
まとめ
本記事では、保険業界のDX化について現状やDXを推進する中で直面する課題についてご紹介いたしました。
保険DXは、保険業界において欠かせない重要な取り組みであり、テクノロジーとデータの活用が不可欠となっています。
現在、保険業界は大きな環境変化の中にあり、個々の顧客に合わせたオーダーメイドの保険商品や、リアルタイムでのリスク評価、保険金の支払いまでのスピードアップなどが求められています。保険DXを促進することは、保険業界の未来を形作る大きなキーワードとなるでしょう。
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