最終更新日 2024年3月21日

薬局DXとは?

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経済産業省の積極的な取り組みにより、さまざまな分野で進められているDX(デジタルトランスフォーメーション)ですが、その影響はDX促進用の対策チームが設けられているような医療業界などに留まらず、薬局のように人と業界をつなぐような機関にも波及しています。

薬局のDXによって政府が期待していることと言えば、デジタル化によって薬局に勤める薬剤師たちの働き方が改善されること、または、地域に根付く医療機関として最も身近でより親身なものとなれることなどが挙げられます。

しかし、薬局で勤務されている方の中にはDX化と聞くと、

薬局でできるDXとはどういったものなのか

どんな現状があって、何をしたら解決したのか具体的な事例を知りたい

と、あまりイメージが掴みにくい方もいらっしゃるでしょう。

そこで本記事では、背景と現状を踏まえた上で、薬局DXのおすすめサービスと実際の導入事例をご紹介いたしますので、薬局のDX化をご検討中の方はぜひご一読ください。

薬局DXの背景と現状

薬局におけるDX化の現状とその背景について見ていきましょう。

深刻な薬剤師不足

薬局に従事する薬剤師の総数は2020年時点で188,982人総数の58.7%)で、この数値は前回調査の2018年から8,567人、4.7%増加しており、その後も薬剤師の数は年々増加傾向にあります。

しかしながら、高齢化の影響により薬剤師の需要は高まる一方で、病院・薬局間の給与水準の格差や働き方への意識変化などを背景として、人手不足のところに人手が補填されていない状況になっているのです。

薬局の売り上げ減少傾向

超高齢社会である日本において、医療費拡大を抑えるために今後加速することが予測されるのは、診療報酬や薬価改定に伴う薬局の「調剤」を通しての売り上げ減少です。売り上げの減少が原因で人件費などが削減される可能性も加味すると、前項の深刻な薬剤師不足にもつながっていきます。

その一方で、日本のドラッグストア(DgS)における調剤の売上高は大きく成長しており、2020年までの過去10年間で10倍にも跳ね上がっています。今まで調剤をほとんど取り扱ってこなかったドラッグストアでも調剤への強化が進んでおり、さらに薬局の売り上げ減少と薬剤師の分散による人手不足が加速しています。

地域に根付く薬局としての役割

後述しますが、現在政府は薬局に対し、地域に根付いた「かかりつけ」の役割を果たすことを求めています。患者の薬物療法の安全性と効率性を向上させ、最終的には医療費の適正化にもつなげることが主な目的です。

具体的には、服薬情報の一元的かつ継続的な把握や、24時間対応・在宅対応、医療機関などの関係機関との連携を強化することが求められます。そのためには、処方箋の調剤を効率化することにより薬剤師の負担を軽減し、対物から対人の業務へのシフトが欠かせません。

「かかりつけ薬剤師・薬局」とは?

厚生労働省が推進している「かかりつけ薬剤師・薬局」に関する取り組みをご存知でしょうか?超高齢社会に突入している日本では、合併症に伴う服薬品の増加や副作用への注意など、特に高齢者の健康管理について大きな課題を抱えています。

また、年齢に関わらず、適切な用法の服薬で適切な効果を得るためにも、一人ひとりの服薬状況をしっかり把握し、地域で暮らす私たちの日常の健康相談に24時間応じてくれるような信頼できる「かかりつけ薬剤師・薬局」が身近にいれば安心、という狙いもあります。

処方箋がなくても、夜間や休日に在宅での療養に関する場面や、自分で使用しているサプリメントなどの情報を踏まえた副作用の相談の際に活用することができます。こうした患者本位の医薬分業に向けて、薬局そのものの在り方の見直しとかかりつけ機能の強化が推進されているのです。

薬局におけるDXの導入事例

実際の薬局で導入されているおすすめのDXサービスを具体的な事例と一緒にご紹介します。

オンライン調剤サービス「薬急便(やっきゅうびん)」

薬急便webサイト
(出所:薬急便公式Webサイト)

 

薬急便(やっきゅうびん)は、オンライン上で服薬指導や処方箋を事前に送信することができて、お薬手帳としての機能なども兼ね備えたドラッグストア・薬局向けのオンライン調剤サービスです。
実際に、クオール薬局やサンドラッグ、サツドラ薬局をはじめとする全国の薬局で導入されている中で、導入事例として、病院やクリニックでの診察から薬局での服薬指導、そして患者の手元に処方された薬が届くまでの流れを、一気通貫してオンライン上で完結させることができるとのことです。
お薬を遠隔でモバイルオーダーすることができたり、ポイントの機能が充実していたりして、カスタマイズ性が高く独自性の高いデジタルサービス利用の推進を実現しています。 「調剤」と「物販」を連動させた好循環のサービス提供で送客力や店舗内の回遊率向上に貢献し、最終的にドラッグストア全体としての売上アップを実現することができます。

  • 公式アプリやLINEアカウント、SNSなどのデジタル接点にサービスを組み込める
  • 薬局に特化したLINEミニアプリを駆使して継続利用を促進
  • 充実の服用フォローアップ機能やポイント機能などの独自のアプローチ

薬歴システム「Musubi」

Musubiwebサイト
(出所:Musubi公式Webサイト)

 

Musubiは、薬歴に関する各種データの見える化、患者の服薬期間中のフォローや来客促進による服薬指導の充実サポートで圧倒的な業務効率化を実現する薬局DXサポートサービスです。
導入事例として、月に40~50人の患者の在宅訪問を主にこなすような、地域に根差した小規模な薬局においても、Musubiの端末をスマートフォンのデザリングでつないで服薬指導をしたり、外来や在宅訪問に関わらず徹底したサポートによって他の薬局との差別化をしたりことで、薬局を単なる「お薬をもらう場所」という役割から脱却できるようになるそうです。
薬歴機能だけで選ばれがちな電子薬歴を、経営指標分析や顧客管理・在庫管理をはじめとする機能を搭載することで、業務の効率化に特化したサービスへと実現させました。
「従業員の評価・教育の悩みを解決したい」、「患者に選ばれ続ける薬局をつくりたい」、「データをもとにした薬局経営を実現したい」などの漠然とした不安や課題にお悩みの方々にご活用いただけます。

  • 服薬指導と薬歴作成の同時進行で、薬局の働き方改革と患者満足度向上を実現
  • 経営に必要な収益や薬歴業務などの分析をタイムリーに可視化
  • 患者への服薬期間中のフォローや処方箋の送信がLINEでできる

かかりつけ薬局化支援サービス「kakari」

kakariwebサイト
(出所:kakari公式Webサイト)

 

kakariは、門前薬局からかかりつけ薬局への転換を促進することで課題解決をサポートする、保険薬局と患者をつなぐ「かかりつけ薬局」アプリです。
導入事例として、敢えて薬局検索機能をなくしたkakariの面処方応需拡大が成功した結果、患者のためには事務スタッフを中心としたチームワークの結集が重要であることも発見できたとのことです。
選ばれる薬局には理由があるということを追求し、集中率の低減や投薬後のフォローなどを通じた「面処方応需拡大」支援で薬局の「攻めの課題」にアプローチします。
改正薬機法やデジタル化進展への対応、処方医との連携を強化するなどのデジタル化と対人業務転換の間のギャップを、限られたリソースで対応する「守りの課題」も解決することができます。

  • 「自薬局専用」を追求したアプリ設計と「処方せん送信中心」の方針
  • 処方箋送信を利用したユーザーの半数以上が5回以上のヘビーユーザーに
  • 自局をかかりつけ登録した患者100人あたり月平均30枚以上の高い処方箋送信率

保険薬局用コンピューター「PharnesX」

PharnesXwebサイト
(出所:PharnesX公式Webサイト)

 

PharnesXは、簡単な操作で処方箋の入力や薬局経営をサポートする豊富な帳票などの機能を搭載して保険薬局の業務を協力にサポートするサービスです。
導入事例として、お薬手帳を忘れてしまうような急性疾患の患者や、早めに帰宅して安静にすることを希望する患者への服薬指導など、薬局の業務に係る時間や労力のムダをなくすことで、薬歴内容の充実につなげることができたそうです。
従来は必須だった訪問によるデータ作成や設定変更などの作業をリモートサポートによってスピーディーに解決可能になったため、お問い合わせへの対応をはじめとした薬局業務を止める必要がなくなりました。
また、PharnesXを提供しているメディコムは医療DXや電子カルテへの取り組みも充実しており、全国に拠点を持っているため万全のサポート体制が築かれています。導入時のサポートからアフターフォロー、メンテナンス、ソリューション提案などにいたるまでサービスを受けることができます。

  • 最新の医薬品情報で、重複投薬やアレルギーなどを加味した処方薬チェック
  • レセプト請求前のチェック機能により、薬歴未記載のものをリストアップできる
  • 1日の業務をまとめたスケジューリング機能やカンタンな処方箋入力機能が搭載

まとめ

本記事では、薬局のDX化についての背景や現状、「かかりつけ薬剤師・薬局」の取り組み、具体的なDX事例をご紹介いたしました。

薬局におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)とは、処方箋の調剤などに係る対物的な業務よりも、服薬指導などの対人的な業務を充実させることで、患者に寄り添った医薬分業を可能にするために取り組むものです。

改めて、自身の薬局に現状足りていないものは何か、どのような取り組みを行ったら課題が解決するかを整理してから、必要なDX化を取り入れてみてはいかがでしょうか。

薬局DXまとめ画像

薬局のDX化を促進!スマートゲートのBPO

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他にもOCR処理やスキャニング代行など、業務の効率化を支援するサービスが多数ございますので、ぜひご検討ください。

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